大相撲の歴史と未来

大相撲の歴史が育んだ師弟制度

師弟

大相撲が歴史を積み重ねる中で、独特な師弟制度が確立されることになりました。通常の社会よりも上下関係が明確で、親方が絶対的な権威になりますが、この中には極めて強固な信頼関係があることが特徴です。

中学を卒業してから入門する力士は、まだ若い段階で親元を離れてしまいますから、親方は父親の役割も担うことになります。部屋の女将さんは母親としての役割も担うことから、大相撲の部屋は大家族のような雰囲気になります。

親方と弟子が本当の親子であったとしても、師弟関係の掟を破ることはできません。大相撲の一大ブームを作った若貴兄弟は、父親となる初代貴ノ花が指導する藤島部屋に入門していますが、表向きには親子の縁を切ったことで有名です。私情に左右されることなく、師弟制度を厳格に守って稽古に精進したことで、若貴兄弟は共に横綱に昇進することができました。このような師弟関係は、外国人力士が急増してからも受け継がれており、日本の伝統文化の一つとしても重視されています。